黒 バス 桃井。 #黒バス【腐】 #黒子/桃井 黒バス【腐】 高3の黒+桃の会話文

#黒バス #桃井嫌われ 赤黒ちゃん+桃井in洛山2

黒 バス 桃井

浅岡 省一 New Entries• 109• 1 Archives• 10 Profile• Links• mobile• よしよし、と頭を撫でる黒子の手に、桃井は涙が滲むのを堪えられなかった。 不幸な事故でもあった。 けれど桃井はその過去を決して忘れない。 やっぱり今のように暑い夏の日で、じわりと染み入る暑さと蝉の鳴き声に辟易としていた頃だった。 明るい声、光のような声に黒子が顔をあげる。 黒子は影の中にいた。 風にさわりと揺れる木々、その下に生まれる影の中に、黒子はいた。 日差しは遮られているものの、屋外であるため機械的な冷風があるわけでもないその場所。 そんな場所で、黒子は汗一つ流さず幹にもたれて地に腰を下ろしていた。 「桃井さん」 ふわりとそれは香りのように滑り込む。 何て優しい音、心の内で呟いて桃井は黒子の傍へと寄った。 「僕のこと、よく分かりましたね」 見えなかったでしょう? と首を傾げる黒子に桃井は苦笑を落として黒子の横に座り込む。 その際黒子はスカートに草が染みないよう白いハンカチを広げてくれて、そんな気遣いが本当に嬉しかった。 「青峰君が、ここで待ち合わせしてるって教えてくれたの」 ふわりと風に靡く髪を背中に流して桃井が笑う。 覗き込むように上半身を折れば、きょとんとした表情がそこにはあった。 「青峰君が?」 「そう。 アイツ先生から呼び出し食らっちゃってさ」 遅れるって伝言も預かってきたの、と桃井が告げる。 黒子はそうですかと一つ頷いて、横に置いていた弁当箱を手に取った。 「テツ君?」 「これ以上遅くなると間に合わないので」 青峰君なら余裕でしょうけど、と呟く黒子は食事のペースが遅い。 ゆっくり食べないと気分が悪くなるので、いつも一緒に食べ出しても食べ終わるのは黒子の方が遅いのだ。 限られた休憩時間の殆どを食事に費やす黒子からすれば、今の時間ではかなりギリギリである。 それでも今まで待っていたのだから黒子も大概青峰に甘い、と桃井は内心呟いた。 「ね、私も一緒に食べていい?」 「僕も一人では味気ないですから」 一緒に食べましょう、と黒子が笑う。 好きな人だからこそ分かるその小さな変化に、桃井は本当に嬉しくて笑った。 日差しのせいではない熱さに顔が火照って、けれどそんなことにすら笑みが零れるのだから最早末期だ。 恋とは死に至る病だと誰かが言った。 それは間違いなく真実なのだと、今の桃井なら頷けるのだ。 気がつけば昼休みは半分も過ぎ、遠くから呼び声が響いてきた。 「テツ!」 「青峰君」 怒鳴るわけでもがなるわけでもないその声は、けれどひたすら真っ直ぐに空間を伸びて座り込む二人の元へと届く。 その声に桃井は話を中断して声の持ち主の名を呼んだ。 「さつきもいんのか」 「あんたが伝言頼んだんでしょ」 訝しげな様子の相手に桃井はきりりと眉をつり上げる。 けれどそれは怒りと言うより幼馴染みに対する呆れと言う方が相応しく、黒子としては桃井の方が余程青峰に甘いと思っていた。 「長かったですね」 何をしたんですか、と義務感の滲むその声音に青峰は少し傷ついた顔をする。 それに気づいた黒子が驚きを露にしたが、青峰はそれに何を言うでもなく桃井との会話を切り上げて黒子の横に腰を落とした。 桃井も先程の位置に戻り、両隣に人を置く黒子は若干の暑さを感じる。 けれどこの距離感は嫌いではないから、だから少しだけ笑って食事に戻った。 「テツ、お前まだ食ってたのかよ?」 相変わらずトロいな、と笑う青峰に黒子は小さく眉を寄せる。 「……分かりました、君はお昼いらないんですね」 青峰に頼まれて買っておいた昼ご飯を然り気無く取り上げ、桃井と自分との間に置いた。 青峰は目の前で取り上げられたお昼に驚き手を伸ばすが、如何せん黒子の真反対側である。 如何に青峰の体格が人並み外れていようと、座り込んだままでは地味に届かない。 ついでに黒子の妨害も激しく、青峰は先程の暴言を撤回するはめになった。 「ったく、いつものことじゃねーか」 返してもらった食事にありついた青峰はぶつぶつと文句を漏らすものの、黒子の一睨みに慌てて明後日の方を振り向いて気づかぬ振りをしたのだった。 桃井は現状に不満はない。 女に産まれたこともかつては悩みの種だったけれど、それは結局無い物ねだりでしかなく、どうにもならないことだったのだ。 かつては不満が尽きず、不安がたちまち全身を覆っていたのだけれど、それでも現状を受け入れた現在に不満はない。 あるとするなら。 鬱陶しい、かな 正に今がそうだ、と桃井は思った。 時間は昼休み終了5分前。 黒子と青峰、二人から離れて間もない瞬間で、ついでに言うなら場所はお決まりの階段踊り場。 太陽は中天にあるため日差しが差し込んでくることはないが、かといって暑くないかと問われれば話は別だ。 つまり、暑い。 桃井も桃井の前にいる女子生徒もじわりと滲む汗を拭いながらその場にいた。 「……もう一回言ってくれるかな?」 桃井は聞き返す。 それが相手を煽る行為だと分かっていて、それでも聞き返したのは言われた言葉が本当に理解出来なかったからだ。 「あのねぇ…っ!」 「落ち着きなよ」 いきり立つ女子生徒Aに対して横に立つ女子生徒Bはまだ落ち着いていた。 けれどその瞳に宿る炎は不穏で暗い。 一見すればAの方が危険度は高いが、いざとなればキレるのはBの方が早いだろうな、と桃井は分析する。 「だから、青峰君と付き合ってるなら他の男子生徒に手ぇ出すの止めてほしいの」 Bの台詞に桃井はぽかんとなる。 Aはそれにも苛立ちを煽られたようだが、何とか深呼吸を繰り返して落ち着きを取り戻し 桃井からすれば全然落ち着いていなかったが 食って掛かる。 「バスケ部のマネージャーだからって黄瀬君とか緑間君とかにまで色目使ってんじゃないわよ!」 完全な言い掛かりである。 桃井にはあの二人の何処が良いのかさっぱり分からないが、とりあえずこの二人はその二人に気があって、数少ない男子バスケ部マネージャーの桃井に食って掛かっているようだ。 しかし桃井からすればとんだ濡れ衣である。 桃井と青峰はお互い幼馴染みであるという認識しかないし、その分遠慮だの配慮だのがあまり入り込まないため、他者から見ればそういう風に見えることもあるのだろうとは思う。 だから自分は事あるごとに青峰とは幼馴染みの腐れ縁だと断ってきたし、それは青峰も同じはずである。 特に青峰はバスケか最上であるため、桃井以上に恋愛には興味がない。 だから二人が言う「青峰と桃井が付き合っている」は完全な間違いである。 黄瀬と緑間の話に関しては、恐らく先程のことだろうと桃井は当たりをつける。 つまり、昼休憩中に三人がいたところに黄瀬と緑間を含む「キセキの世代」全員が集合し、いつものようにして始まった青峰と黄瀬の1on1を見学していた。 その時緑間は下らないと言って先程まで青峰がいた場所に腰を下ろした。 ……つまり、この二人には緑間と桃井の間にいたはずの黒子が見えていなかったのだろう。 黄瀬が話題に上がったのはその黒子が黄瀬の分析を行っていたため、それを耳に入れながら黄瀬を分析していたからに他ならない。 つまり、これは二人の完全な勘違いなのだ。 桃井としては溜め息の一つや二つ吐きたくもなる。 だがここでそれをしてしまえば恐らく二人の箍が外れてしまうだろうから、何とか堪える。 それでも険悪な雰囲気になってしまったのは勘弁してほしい。 「断っておくけど、私と青峰君はただの幼馴染みで付き合ってはいないし、それは黄瀬君も緑間君も同じ。 さっき一緒にいたのは部活の事で話があったからで、それ以外の他意はないの」 その言葉に反論があろうがなかろうが、桃井にはどうでもいい。 それは完全な真実であり事実でもあり、彼女たちが見たものはただの妄想に過ぎないのだから。 休憩の終わりを告げるチャイムが響いて、桃井は顔を上げる。 流石に行かないとまずい。 こんな理由で授業に遅れるなど不名誉すぎる。 「もう授業始まるし、行くね」 二人から離れて下り階段に近づいたその時。 と、ん 「……ぇ?」 風もないのにふわりと髪が靡いて、視界は階段から壁に移り変わって、天井が見えて反射した光が目を焼いて。 「桃井さん……っ!」 大事な人の、滅多に聞かない焦った声と驚いた表情のAとBの顔を最後に、意識はブラックアウト。 無意識に零れ落ちた言葉の意味を理解できなくて、桃井はぼんやりと辺りを見回した。 白い、と意識が呟く。 快適に保たれた室温、乾いた感触のシーツ。 白いカーテンが少しだけ揺れて、影が移動する。 「……だ、れ?」 「桃井さん?」 「テツ君?」 ぱちん、としゃぼんが弾けるように意識が回復した。 さぁ、と小さな音と共にカーテンが開いて、ひょこりと見慣れた顔が覗く。 「おーさつき、目ぇ覚めたか」 「……青峰君?」 「青峰君、少しは遠慮してください」 相手は女性です、という言葉と同時に何だか鈍い音がした。 ついで青峰の表情が苦悶に歪んで屈み込む。 恐らく脇腹に一撃が入ったのだろう。 一部冷静な頭がそう呟いて、桃井は改めて現状を整理した。 「入っても大丈夫ですか?」 「うん。 ……ねぇ、テツ君」 「はい、何ですか?」 青峰を避けて桃井のベッドに近づいた黒子は、丸椅子を引き寄せ腰を下ろすと優しい表情で桃井を見下ろす。 その眼差しに僅かな照れを感じながら、桃井は疑問を告げた。 「……何が、あったの?」 「……」 「うまく考えが纏まらなくて、」 「今はあまり考えない方がいいです」 そっと指先が伸びてきて、桃井の目蓋を下ろす。 少し冷たくて、けれど自分とは違う熱に心臓が大きく脈打って、頬が一気に熱くなった。 これじゃあ別の意味で思考が纏まらないじゃない! 「僕が知っている限りでよければ、お話しします」 「う、うん」 照れはまだ消えないのだけれど、それでも聞こえた真剣な声に耳を済ます。 目蓋に添えられていた指先が離れていって、それを名残惜しむ気持ちもあるのだけれど、その気持ちを押し退けてゆっくりと目を開く。 カーテン越しに差し込む光の中で、青みを帯びた双眸は緩やかに、けれど誠実さを秘めて桃井を見下ろしていた。 「お昼休憩のことは覚えていますか?」 「うん、多分。 青峰君が遅れるって伝言を持っていって、一緒にご飯食べて……」 「青峰君が来て、他のみんなも来たことは?」 「覚えてる。 その後、もう時間だからって解散して教室に……?」 向かっていったところまでは鮮明に浮かんできたのだが、如何せんその後がぼやけて思い出せない。 ただ不満と溜め息だけを覚えている。 「……僕もそこで別れたので詳しいことは分かりません。 僕が見たのは見知らぬ女生徒が二人、桃井さんと一緒にいて……」 そこで口を噤んでしまった黒子に、桃井は内心首を傾げる。 躊躇う様子の黒子を遮るかのように桃井のベッドに腰を下ろした青峰が、何でもないことのように告げた。 「オマエ、階段から落ちたんだよ」 「青峰君」 「んだよ、躊躇ったって事実は変わんねぇだろ」 「率直すぎると言ってるんです」 いつものようなやり取りを始める二人を尻目に、桃井は痛む頭から蘇る記憶に眉を顰める。 そう、そうだった。 桃井からすればひどく理不尽な文句をつけられて、正直妄言甚だしいと思ったものだ。 私が好きなのはテツ君なのに…… 確かに青峰のことは放っておけないと思う。 けれどそれは長い付き合いによる腐れ縁からくるもので、一般的な恋愛論とはかけ離れている。 そこから発展する恋を否定する気は毛頭無いが、それが自分達には当てはまらないことを桃井はよく知っていた。 「えっと、心配かけてごめんね?」 そう言えば青峰は軽く鼻で笑ったようだったが、その瞳に安堵が滲んでいたことを桃井は否定しない。 長い付き合いだからわかる感情の機微に自然と笑みが零れた。 「もう大丈夫だから、帰ろ?」 ゆっくりと身体を起こして不具合がないかを確かめる。 落ちたときに打ったのだろう箇所が僅かに痛むが、歩けないほどではない。 頭を打った形跡もなく、これなら問題ないだろうと判断し、ベッドから降りた。 黒子は一瞬何かを言いかけて、けれど一度目を伏せると少しだけ微笑んで立ち上がる。 「無理しないでくださいね」 「うん」 大丈夫だよ、と笑って青峰が持ってきたのだろう自分の鞄を掴んだが、それを黒子がやんわりと取り上げる。 「テツ君?」 「持ちますよ」 「ぇ、大丈夫だよ?」 わたわたと鞄を取り返そうとするが黒子はがんとして譲らない。 結局それに甘えることにした桃井は、少し離れたところで青峰が大きなスポーツバッグを二つ、抱えていることに気がついた。 「青峰君?」 「あ、何だよ?」 「それ……」 テツ君のじゃ、と言う前に当の黒子本人がやってくる。 「青峰君、僕は」 「オマエが平気でもオレが平気じゃねーの」 甘えてろ、と言って一足先に保健室を出ていった。 黒子は伸ばした手に何も掴めず、ぎゅうと握り締めて俯き、何事かを小さく呟く。 「テツ君……?」 「……何でもありません。 行きましょう」 養護教諭のいない保健室の鍵を閉め 何故持っているのかと問えば会議のために戸締まりを頼まれたのだと返ってきた。 それでいいのか養護教諭、と桃井は思う 鍵を返却する黒子とは一旦別れた。 すれ違う瞬間、桃井は何かに気づいたのだが、その答えを探り当てる前に疑問が霧散してしまい、最終的に何を考えていたのかすら忘れてしまった。 少し離れた場所にはやはり青峰がいて、桃井が歩いてきたのを見届けてから下駄箱へと向かう。 どうやら一応気を使ってくれているらしい。 そう気づいた桃井は僅かに感じるくすぐったい気持ちを押し隠して、それでも笑ってしまう口許を押さえて下駄箱へと向かった。 屈むと少し立ち眩みがしたものの、それ以外の問題があるようには思えず桃井は首を傾げる。 ……そういえば、おかしくないだろうか? 私、階段から落ちたのよね……? それも踊り場から。 それならもっと……そう、もっと身体が痛みを訴えてもいいのではないだろうか? ぺたぺたと腕や足を撫でてみるが、特に痛む箇所がない。 あの高さから落ちたのなら背中や足を打ち付けていてもおかしくないはずなのに、どういうことだろう? 横に立つ青峰なら何か知っているだろうかと考え、その顔を見上げる。 ……その瞬間、背筋を悪寒が駆け上がった。 「あ、おみね、君……?」 「……ぁんだよ」 「何であんた、そんなに殺気立ってんのよ」 「……うるせぇ」 ぐ、と唇を噛み締めて、まるで吐き出すように告げる言葉。 歪められた表情に名をつけるとしたらそれは怒りであり悲しみであり悔恨であり、いっそ純粋なまでの愛だろうと桃井は思う。 そして青峰がそんな感情を向ける相手はひどく少ない。 ……つまり。 「ねぇ」 「何だよ」 「私、階段から落ちたにしては怪我が少ないわよね?」 「……」 「何を知ってるの?」 否。 「何を、隠してるの?」 「……」 青峰からの返答はなかった。 答えないのか、それとも答えられないのか。 自身の意思なのかそれとも他者の思惑なのか、或いはその選択肢すらないのかもしれない。 「……あんたがテツ君の鞄を持ってる」 「……」 「それもテツ君を退ける形で」 「……」 桃井は俯く。 悔しさのあまり、悲しさのあまり、己の愚かさのあまりに。 握り締めたスカートがぐしゃりと皺になって、その乱れた姿が桃井の心情とよく似ていた。 「私の怪我が少ないのは、誰かが受け止めてくれたから。 誰かが助けてくれたから、よね」 「……」 「それがあんたなら、テツ君は何があってもあんたに鞄を預けたりしないわ」 「……」 「階段から落ちる瞬間、テツ君の声を聞いたの」 「……」 「あんたの声もね」 震える肩に合わせて長い髪が揺れ動く。 俯いている桃井の表情を隠すそのカーテンの上で青峰がどんな表情をしていたのか、それは誰も知らないのだ。 「私を助けてくれたのはテツ君。 私の代わりに怪我をしたのもテツ君」 「……」 「ねぇ、何か間違ってる?」 歯を食い縛って、涙なんて流さないように。 嗚咽も滲む悲鳴も堪えて桃井は青峰を見上げる。 青峰の表情は抜け落ちていた。 怒りも悲しみも憎しみも悔恨も、何もない。 ただそこにいるという威圧感だけが凄まじく、けれど桃井は怯みもしなかった。 「……そうだよ」 やがて返る、答え。 それは十秒にも満たなかったのかそれとも五分も過ぎていたのか、桃井には分からない。 のし掛かる重圧は時間の感覚を狂わせて、正しい時間の流れが分からない。 でもその答えが本物であることは、疑いようがなかった。 「オマエは階段から落ちた。 足でも引っかけられたんだろ」 「……そうかも」 「テツからは見えてなかった。 でも見えてなかったから、オレより早く反応した」 バッグの肩ヒモ部分を握り潰すよう掴んで、青峰は歯を食い縛る。 体内に蹲る衝動を噛み殺すように歯を立てて、ぎりぎりと今にも切れんばかりの理性の糸を繋いでいた。 「……テツは、オマエの下敷きになって階段を落ちた」 「うん」 「オマエは衝撃で目を回したぐらいだったけど、アイツは右肩と背中と右の太ももを強打してる」 「……うん」 「幸い捻挫も骨折もヒビもない、完全に打ち身だけだ」 「……」 こんな時なのに唇が苦笑を刻んだのは、青峰の言い分にある。 「気、使わないでよ」 「あぁ?」 「あんたは私のせいじゃないって言いたいんでしょうけど、でも全部じゃなくても一部は私の責任なんだから」 「……」 舌打ちが聞こえた。 生意気な、と言っているつもりのようだが、桃井には自分の失敗を叱咤しているようにしか聞こえない。 馬鹿だなぁ、と桃井は思った。 そんな慣れないことをするから、桃井に気づかれるのだ。 もっと率直に真っ直ぐに、何時ものように振る舞っていれば良かったのに。 でもそれでも。 「……ありがと」 それは確かに救いだったのだ。 「お待たせしました」 桃井さん、青峰君、と黒子の声がした。 二人が慌てて振り向けば黒子は少し驚いた様子で廊下から下駄箱に踏み出してきたところで。 二人は揃って安堵の溜め息を零した。 「どうかしたんですか?」 「んーん、何でもない」 「それより遅かったな」 靴を履き替える黒子を待ちながら、二人は目配せをする。 先程の話は内緒で、とお互いの瞳が語っていた。 それを間違いなく読み取った二人は小さく頷きを返して、靴を履き替えた黒子を見やる。 「えぇ、少しばかり話を」 曖昧にぼかす物言いに青峰は眉を寄せ、桃井は首を傾げる。 けれど黒子にはそれ以上言うつもりがないらしく、二人を追い越すように校門へ向かった。 慌ててその背中を追いかけながら、桃井はほんの僅か滲んだ涙を拭う。 これは痛いからじゃない。 悔しいわけでもなくて、悲しいわけでもなくて ただ夕日が目に痛いだけ、と桃井は自分に言い聞かせた。 背後にある夕日はいつも以上に真っ赤で、でも今の桃井にそれを見る勇気はなかったのだ。 「桃井さん?」 どうかしましたか、と黒子が問う。 振り返った黒子は夕日に照らされて真っ赤で、でも包み込むような優しさを醸し出していて、だから桃井は。 「何でも、ない、のっ……!」 足りない、足りない。 全然足りない。 歯を食い縛っても手のひらに爪を立てても、唇を噛み締めても。 嗚咽も涙も痛みも悲しみも、何もかもを堪えられない。 溢れてしまう、零れてしまう。 違うのに、泣きたくなんてないのに、抑えきれない。 「ごめんね、テツ君……!」 ぼろぼろと涙が零れた。 溢れた思いは感情のままに言葉を紡いで、桃井は悔しくて悔しくて仕方がない。 歪んだ顔はきっとみっともなくて、涙でボロボロの顔なんて見せたくなかった。 でも溢れて零れて止まらない。 ふわ、り 「泣かないでください」 そぅっと寄せられる指先の暖かさ。 よしよしと頭を撫でる左手に、桃井の涙が溢れて止まらない。 左肩に桃井の鞄を下げて、左手で桃井の頭を撫でる。 右腕は横に下ろされたままで、だから桃井は余計に泣きたくなった。 でもこれ以上は甘えていられないから、だから桃井は乱暴に顔を拭って笑顔を見せる。 「こめんね、テツ君。 もう大丈夫だよ、ありがとう」 「そうですか?」 疑問を孕んだ瞳で、でもそれでも黒子は手を引いた。 離れていく熱量はひどく恋しくて、離れないでと引き留めたくなるのだけれど、これ以上甘えられないと自分で線を引いたのだからそんなことは出来ない。 だからせめて。 「大丈夫だよ」 これ以上そんな悲しい顔をしないで 万感の思いを乗せた笑顔、を。 脇目も振らず、雨なんて気にすることもなく、ただどうしていいか分からなくて走って走って、誠凛に来てしまったのだ。 「青峰君もきっと心配してます」 よしよし、と頭を撫でる黒子はそれを疑ってもいなくて、それは桃井もそうだった。 確かにひどい言葉を浴びせられた。 でもそれはただの癇癪で、本音だなんて思ってもいない。 落ち着いて考えれば分かる。 桃井が青峰を放っておけないように、青峰とて桃井を蔑ろに出来るはずがないのだから。 その柔らかい眼差しと手のひらの暖かさと包み込むような雰囲気は桃井の望む甘い代物ではないのだけれど、それでもすがってしまいたくなる何かを持っているのだ。 抱きついた身体の鼓動は至って普通で、黒子に触れる度に鼓動を高鳴らせている桃井には少し悲しい。 けれど今はまだこのままでいいと呟く己も確かにいて、いつか、そういつかで良い。 またあの頃のように皆で楽しくバスケが出来るようになったら。 その時は、望んでも良い? もっと高みを、更なる高みを、真実を、望んでも構いませんか? 貴方とずっと一緒にいることが出来る未来を望んでも、構わない? その問いに答えはないのだけれど、別れの間際にくれた微笑みが「いつか」を望んでいることが分かったから、桃井は満面の笑みを見せる。 遠くない未来で、誰もが笑顔でそこにいることを、桃井は願って止まない。 ごめんなさい。 何かを選ぶことは何かを捨てること、という言葉がありますが、多分桃井にはそんな考えはない。 彼女が将来黒子と付き合うことになったとして、それでも彼女はそれまでとまったく変わらない同じ距離に青峰がいることを疑わない気がする。 実際変わるかどうかは知りませんが 苦笑 というか話長過ぎる。 多分これ携帯では見れないのではなかろうか。 文字数約9000。 普段携帯メールで小説を書く私ですが、ほぼ丸二つ使いました。 先の小説でも触れましたが、合併号発売辺りで桃井の名前での検索率が異様に上がりました。 それに合わせて書いていたのですが、如何せん長過ぎる。 普段から冗長傾向にある私の作品ですが、これは長過ぎる。 書いた本人が多分一番吃驚しました。 とりあえずこの話で少しでも桃井の名前で検索してこられた方が気に入ってくれたらな、と思います。

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黒バスキャラの、名前の呼び方を詳しく教えてください。

黒 バス 桃井

前回のあらすじ 悪井みに子に嵌められた桃井。 黒子と赤司だけは桃井を信じた。 高校は三人で洛山へ。 勿論、悪井とキセキに復讐の計画を立てている。 無冠の三人と黛さんは、桃井ちゃんの味方です。 今回、新しいオリキャラが出ます。 勿論、黒子達の協力者です。 洛山の体育館では監督である白金からの激が飛ぶ中。 黒子と桃井が不気味な笑顔浮かべている。 選手達は、そんな二人をなるべく視界にいれないようにと練習する。 監督である白金も不気味な笑顔浮かべている黒子と桃井に係わりたくないので 黒歴史とか暴露されそうで怖い 注意しない。 それだけ二人の情報の能力が凄すぎて一年にしてレギュラー入りした黒子へと嫌がらせしようとした連中は、いつの間にか転校し他に虐めをしてる連中も同じくいつの間にか洛山高校から消えた。 その為に洛山高校では、黒子と桃井には手を出すなと手を出せば恐ろしい程の制裁が下される為、洛山高校全校生徒や教師の間に暗黙の掟が出来ていた。 黒子と桃井がキャハハウフフと楽しいそうにしている所で生徒会の用事を済ませた赤司が体育館へと姿を表し楽しそうにしている黒子と桃井の元へ駆け寄るなり二人に。 「テツヤ、桃井。 何か面白い事でもあったのかい?」 赤司の質問に二人はニッコリと微笑むと。 「面白い事って言うよりも黄瀬君。 黄瀬が負けるなんてね。 その新設校の名前は?」 「誠凛高校って名前で、其処に無冠の五将の一人である木吉鉄平が要るし、それと今年の一年にまだまだ荒削りだけどガングロ 青峰 と似たタイプが入学してきたんですよね。 一応要注意していた方が良いかもしれません」 「テツヤが其処まで言うって事は、かなり警戒した方がいいね、テツヤ、桃井。 引き継ぎ、誠凛高校の情報を宜しく頼む」 「勿論です。 赤司君」 「任せて!赤司君」 「さてと、テツヤ。 そろそろ練習に参加しよう」 「はい!」 黒子は赤司が来るまで桃井と情報交換しながら待って居たのだ。 赤司と黒子は練習着に着替え練習へと参加。 桃井は、マネージャー業に戻って行った。 [newpage] 練習が終わり、赤司、黒子、桃井は、家に帰るべく 赤司家の祖父母の家に暮らしてる 校門を出る所で三人の名前を呼ぶ葉山の声に三人は立ち止まって葉山の方へと振り返り 「怜央、小太郎、永吉。 どうかした?」 赤司が何か合ったのかと問うと葉山がテンション高々に。 「俺達!今からコンビニに行くんだけどさぁ!赤司達も一緒にどうかなーって!!」 「こら!!小太郎!!征ちゃん達に迷惑駆けたら駄目じゃない!!」 そんな葉山に怒る実渕に根部武だけは牛丼食いに行こうぜと言う。 赤司は黒子と桃井にどうする?と聞けば。 「バニラアイス食べたいので是非、行きましょう」 「私もコンビニでスイーツ買いたいから行きたい」 「分かったよ、祖母に少し遅くなることを連絡しておくよ。 コンビニへと付き中に入ると赤司と黒子はアイスコーナーへ。 桃井は実渕にオススメのスイーツを聞き葉山と根部武は自分が食べたい物をかごに入れていく。 「相変わらず!永ちゃんは凄い食べるね!!」 根部武のかごの中を見た葉山が目を輝かせて言う。 其処へ黒子が何かを思い出したかのように話出した。 「沢山食べると言えば、確か誠凛の火神君もかなりの大食いだそうですよ」 「え!まじで!永ちゃん以外にも居たんだー!!その、火神って奴と永ちゃんどっちが沢山食べるんだろう!」 ワクワクしながら聞いて来る葉山に黒子は苦笑した。 先輩達とコンビニで別れ黒子達は、赤司家へと向かった。 赤司家 祖父母 の家に着くと今日、用事で居なかった筈の黛千尋に出迎えられ。 赤司が嫌な顔で。 「何で、千尋がいる」 「良いだろ別に、お帰り。 テツヤ、桃井」 赤司を無視して黒子と桃井に向けて言う黛。 そんな黛に対して赤司は舌打ちし。 「此処は、僕の祖父母邸だぞ。 僕に挨拶無視とか千尋、いい度胸だ」 いまにも鋏で斬りかかりそうな赤司に黒子が宥め 「ほらほら、千尋兄さんも赤司君も喧嘩しないで中に入りましょう。 お婆様達も僕達の事、待ってるでしょうから」 睨み合ってた黛と赤司は黒子に即されて一端、喧嘩を中断し桃井は相変わらずの二人のやり取りに苦笑いだ。 食事、風呂を済ませ赤司と黒子は同じ部屋 黛は、赤司家から近い為に帰った 宿題したり柔軟したりと二人でイチャイチャし赤司は黒子に膝枕してもらいながら。 「はぁー、幸せだな。 テツヤを抱けたらもっと最高何だけどね」 「インターハイ予選が近いですからね、練習出来ないのは困りますので、お休みの前だったら良いですよ」 「はぁー、早く卒業したい、テツヤと1日、ずっとイチャイチャしたい、テツヤ 卒業したら結婚しよう」 「征十郎君、日本では、同性婚は、出来ませんよ?」 「卒業するまでに、日本も同性婚出来るようにするよ」 ウフフと嬉しそうに言う赤司に黒子は赤司なら同性婚出来るように法律をまじで創り兼ねないので。 「日本じゃなくても海外で結婚式挙げましょう」 「テツヤが海外で結婚式を挙げたいならそうしようかテツヤは、何処で挙げたい?」 黒子的には、今は、結婚話は置いときたいが此処で話を反らしたら赤司の病んでれがヤバくなるので過去に話反らしたらテツヤは、僕の事嫌いになったの、そんな事、許さない!僕から離れるなら監禁してあげると言い出した為。 一応監禁出来るように監禁部屋があるのにはドン引きしたけど。 正直、高校卒業するまでは監禁は勘弁してほしい等と斜め上以上にずれた考えをする黒子だった。 「征十郎君と結婚出来るなら何処でも構いませんよ。 それに、僕は、結婚等しなくても征十郎君の傍から離れませんからね、一生、僕だけを愛して下さい。 征十郎君」 「勿論だよ!テツヤ。 僕のテツヤ。 愛してる。 ねぇ、テツヤ成るべく無理させないから抱ていいかい?」 甘い甘い口調で言われたら流石の黒子も駄目何て言えず 「無理させないって約束出来るなら良いですよ」 黒子がオッケーした途端赤司は黒子を抱いた。 結局、翌日の練習は腰が痛くて見学する嵌めになった。 その日の1日、赤司の機嫌が良かったのは言うまでもない。 [newpage] 洛山高校の選手達は東京に来ていた。 インターハイの予選を勝ち抜きインターハイの優勝争いは東京で行われる為だ。 久しぶりに東京に来た黒子達は、久しぶりの東京に実渕と葉山がおおはシャギだ。 すぐさま否定。 赤司がはしゃぐ三人に魔王な赤司が降臨し。 「お前達、東京に遊びに来たんじゃないんだ。 分かってるね」 三人は魔王な赤司に身体を震わせ 「「「モチロンワカッテイマス、ハシャイデスイマセン」」」 そんな、魔王の赤司に黒子が三人に助け舟を出して上げ 「まぁまぁ、赤司君。 試合終わったら僕も久しぶりの東京なのでちょっとだけ羽伸ばしたいです、勿論。 赤司君と一緒にです。 そんな黒子の御願いを赤司は駄目何て言うわけない 僕のテツヤ可愛い 「試合終わった後なら良いだろう」 「赤司、テツヤの願いで意見変えるとか甘過ぎだろ」 黛が透かさずツッコムが赤司がフフンと笑って。 「可愛い嫁の願いを叶えるのは当たり前だよ。 千尋こそ人の事言えるかい?それに、千尋こそ東京に来たかっただろう?お目当ての物を買いにさ」 黛は内心舌打ちする。 インターハイ終わった後、秋葉原に行ってお目当てのフィギュアとラノベ小説を買う目的が有り、その事が赤司にバレてた何て舌打ちもしたくなるってもんだ。 その夜、宿泊先のホテルに似て夕食を済ませ消灯まで時間があり皆、各々自由時間を満喫するなか、黒子と桃井が何やらニヤニヤしている。 よく整形手術に了承したね。 まぁ、その気持ち分からない訳じゃないけどね」 「彼女は悪井さんに復讐する為に今回の作戦に是非とも協力したいと言ってましたし。 彼女の大切な妹を悪井が自殺に追いやったんですからね。 それに、悪井さんが彼女に嫌がらせすることになっても手は打って有りますしね」 「二人共、何をそんなに楽しそうに話してるんだい?」 明日の試合での白金との打ち合わせが終わった赤司が戻って来たら楽しそうに話す、黒子と桃井に何を談笑してたのかを問うと二人は青峰と悪井の今の状況を話し赤司自身も愉快に笑う。 もし、青峰が堀北まい似の彼女の正体を知ったらどうなるだろう。 その時が楽しみだなと赤司、黒子、桃井は楽しそうに笑うのであった。 そんな、不気味に笑う三人の姿を見た選手達に悪寒が走ったのも言うまでもない。

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影の紡ぐ言葉は常、に(黒バス:桃井→黒子)

黒 バス 桃井

桃井が入ってきたことには気づかなかった。 赤司は黒子からの伝言を思い出す。 赤「テツヤが桃井さんに伝言を残していった。 『会えなくて寂しかったです。 貴女の行動に今も救われてます。 でも、もう無理です。 努力を踏みにじるよう な真似をして本当にごめんなさい。 今までありがとうございました。 』 と、言ってた。 」 桃「テツくん…ッッ!遅くてごめんね… わたしがもっと早く気づければ、 早く探せてたら…」 赤司は桃井の言葉に異様な違和感を感じた。 赤「遅くて、とは一体どうゆうことだ? 今まで何していたんだ?」 桃井は、無言で手に握りしめていたメモ帳を 赤司に渡す。 それを見た赤司は驚きとともに絶望した顔をした。 緑「な、何が書いてあるのだよ…?」 赤「白井理彩についてだよ…。 彼女は僕たちを騙した。 いや…僕たちが 騙されていたんだ。 テツヤを信じていれば こんなことには…」 メモ帳を他のキセキにも見せる。 青「な、なんでだよ… これ、本当なら俺はテツを…」 緑「はっ?こ、れは…」 内容を見たキセキは自分達のしてしまった事の重大さ、そして黒子への罪悪感で胸が痛んだ。 紫「でも、なんでほんとの事言わなかったの…?」 赤「たしかに…」 黄「……じ……ら…スよ…。 」 赤「涼太?」 黄「俺たちをもう信じてなかったからッスよ! 黒子っちは裏切ってなんかなかった! なのに、俺たちが信じなかった… 俺たちが黒子っちを裏切ったんッスよ」 黄瀬は泣きながら訴えるように言った。 黄「黒子っちは誰も信じず、今まで耐えてたんス。 だから、僕らの前で死んだんッスよ!!」 黄瀬の言葉にみんなが顔を歪める。 黄瀬の言う事には間違いがなかったからだ。 肯定できる話だったからだ。 下から悲鳴やらがやがやとした声がする。 桃井がフラっと数十分前まで黒子のいたところによる。 すると、そこでまた泣き出した。 そこで何かを見つけたらしい。 キセキを呼んでそれを見る。 キセキは泣きながらそれに謝り続けた。 それほどまでに黒子テツヤの存在は大きかったのだ 桃井の見つけた物は手すりに 『みなさんを恨めません。 だって大好きですから』 油性ペンで丁寧にでも震えた字で書いてあった。 学校は五人の泣く声と救急車のサイレンが その5人の過ちを嘲笑うかのようにこだましていた… ーENDー•

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