本当に素敵な恋愛小説。 恋愛小説のリアル活用法

本当に面白い直木賞受賞作品おすすめ5選!【2000年代編】

本当に素敵な恋愛小説

青春のあの頃を思い出して・・・泣きたい。 もしくは、ピュアな恋愛を疑似体験して泣きたい。 そんなふうに思って、小説を読むことって結構ありますよね? もちろんテレビドラマでも映画でもいいんですが、かっこいい男優さんや美人の女優さんが演じているより、やはり妄想の世界で感動したい。 そんなときには、やはり小説が一番です。 というわけでここでは、そんな時に思いっきり泣ける青春恋愛小説をご紹介いたします。 1|それは桜のような恋だった(著者:広瀬未依/双葉文庫) 大学二年背に夏休みにであった、二人の男女が織りなすラブストーリー。 一見平凡な二人の人間の出会いから別れまでのストーリのようでいて、そこには運命としか言い表せない不思議でそして感動的な結末が待っています。 またこの小説には、桜の花の成分であるエフェドリンというものが引き起こすファンタジーの要素もあり。 この作品は、著者の手による京都を舞台とした恋愛ファンタジー者の第3作目に当たるもので、京都という土地柄が、なんとなく日本的情緒を印象的にし、またファンタジー要素も増してくれている素敵な一冊です。 日本情緒やファンタジックな恋愛が好きな人はもちろんのこと、恋愛というものの純粋で真っ直ぐな気持ちに浸りたい人にもおすすめな、上質かつ優しい恋愛小説です。 2|塩の街(著者:有川浩/角川文庫) 有川浩の自衛隊物の一つで、そのSFと軍事をかけ合わせたストーリーが魅力に一冊。 しかし、そんなある意味泣ける恋愛小説の定義から大きく離れているような作品にかかわらず、その中に流れている恋愛要素はそれこそ少女漫画のようにピュアで真っ直ぐなもの。 滅びゆく世界という究極の舞台設定の中で、世界を救おうと奮闘する自衛隊員と、ともに行動する女子高生の間に芽生える恋心。 そして、その究極の世界の中で強く結びついていく二人。 いわゆる泣ける小説と言われるもののように、涙が枯れるほどということはありませんが、あまりにピュアで真っ直ぐな恋愛感情にホロリと涙溢れるそんな作品です。 ハッピーエンドです、っていうのもなんですが、そんなところも高評価ですね。 3|君の膵臓をたべたい(著者:住野よる/双葉社) もうみなさんご存知の超人気ビッグタイトルである『キミスイ』こと君の膵臓をたべたい。 きっと様々な媒体でもう何度も泣ける名作として紹介されてきているだろう作品ではありますが、やはり、泣ける毎作を紹介する時にこの作品を避けて通るわけには行きませんよね。 作品の中、そこかしこに感じられる、迫り来る絶対的な『死』という悲劇の匂い。 そんな死の匂いの中で、それに抗うように明るく青春を謳歌し恋愛を味わおうとする主人公の姿は、それだけでも、もはや涙腺は崩壊気味。 そして、最後にたどり着いた、予定通りの結末。 クライマックスから結末への流れは、まさにこの小説を名作たらしめていると言ってもいいものですので、ぜひ味わってみてください。 4|桜のような僕の恋人(著者:宇山圭佑/集英社文庫) 桜という花は、本当に日本人の心をくすぐる最高のマクガフィンだと感じる小説。 誰もが目を奪われる美しさ、誰もが思わず見とれてしまう景色、そして誰もがその儚くも短い花の一生に寂しさを感じる、そんな花。 そんな日本人の桜に対する思いをこの小説では本当に巧みに儚い恋愛に投影している作品です。 ただ純粋に一人の女性を愛し、そばにいたいと思い続ける男と愛しているからこそ、ある病のせいでその男性のそばにはいたくないと強く願う女性。 そんな二人が織りなす切なくも清々しい恋愛の姿。 短くも美しい人生を精一杯に生きた女性の桜のような姿とその桜を見つめ見守った男の姿に温かい涙が止まりません。 5|ぼくは明日、昨日の君とデートする(著者:七月隆文/宝島文庫) この話の内容をどれくらい説明するのが正しいのか、なかなか難しいのですが。 京都の美大に通う主人公と、主人公に一目惚れされることをきっかけに仲良くない交際を始めるという本当にピュアで優しい恋愛のスタートを切った二人の話。 そんな甘い、そしてなんとなく若い二人のままごとを見ているような恋愛の描写が続いていく中、話は急展開します。 二人のうち女性の方に大きな秘密があったのです。 そこからのお話は、もうただただ切なくもどかしい思いに駆られるストーリー。 しかし、だからこそその恋愛の底にある相手を思いやる気持ちに胸を打たれ涙が溢れ出します。 本当に京都ってこういう話が似合いますよね。 6|失恋延長戦(著者:山本幸久/祥伝社文庫) 話はいきなりの失恋から始まります。 放送部員として活動をする主人公の真弓子は、ある日大きな失敗をしてしまったことで落ち込んでいたところに、大河原という男子生徒に声をほめられ恋におちます。 しかし、大河原は直後、後輩の女生徒と交際をスタート。 そんな愛する人とその恋人を遠くで見つめることしか出来ない真弓子と、そんな真弓子の良き相談相手というか、ぐちを聞いてくれる愛犬のベンジャミン。 きっと誰もがどこかの時点で感じたことのある、どうにもならない濃いのもどかさ。 かなわないからこそ美しい失恋の美学というものを感じることができると同時に、かつて青春の真ん中にいた自分に思いを馳せながらも切ない涙の流れる傑作です。 7|ボクたちはみんな大人になれなかった(著者:燃え殻/新潮社) 遠い昔、そんなふうに思えてしまう90年代の恋人たちを描いた傑作。 90年代から現代までの文明の進み方は、これまで誰も経験したことのない歴史上類を見ないスピードであったことを痛切に感じます。 そしてそのことがいかに切なく、そして輝いていたのかを思い出させてくれる名作。 SNSどころかネット、いやそれこそ携帯電話ですらろくに普及していなかったあの頃、バイトの文通欄をきっかけに、すれ違いの恐怖の中で待ち合わせて始まった恋愛。 そして今の時代から見れば、奇跡のような出会いで始まった恋愛の美しさといったら・・・。 そんな過去の恋愛の階層で綴られていくこの物語の背後には、常に『もう戻らない日々』という切なさが張り付いてているのです。 8|100回泣くこと(著者:中村航/小学館文庫) とにかく涙腺が痛くなるほど泣ける恋愛小説。 そういう言い方をすると音もこもないのですが、やはり恋愛の相手が嫁遺伝国をされて病気でシンでいくことをストーリーの根幹とした恋愛小説は、当たり前のように泣けます。 しかし、大切なのは、その死がただの無駄な生ではなかったと思わせてくれるかどうかです。 その点において、この小説がもたらしてくれる感動と涙は、死という絶対不可避な結末に向かっていくことによって生まれてくる、それだからこその価値をしっかりと感じさせてくれます。 この物語が提起した、愛する人の死が与えてくれる姓の意味はきっとあなたの心に深い傷跡を残します。 しかしそれは、心地よくも消えない、一つの愛の形なのです。 9|八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。 (著者:天沢夏月/メディアワークス文庫) 今流行りの長いタイトルに、メディアワークス文庫ということで・・・つまりラノベ。 しかし、こういったタイトルの小説やライトノベルに偏見のある人にもぜひ読んでほしい、最高に心を引く舞台設定の中で繰り広げられる切なくも温かい物語です。 高校二年の夏、主人公の愛した人は心臓の病気でなくなります。 そして、それから四年経ってもまだ、主人公はその恋愛を引きずっていたのですが、なんと当時の交換日記に4年前に死んだ彼女からの返事が書き込まれたのです。 それを気に、なんとか彼女をしという運命から引き離そうと奮闘する主人公。 物語はそんな主人公の必至で切ない思いが心に迫り、そしてラストシーンでそのすべてが一気に涙として噴出する、そんな小説です。 10|しずかな日々(著者:椰月美智子/講談社文庫) 青春と言うには少し幼い、何気ない小学生の冴えない平凡な日々。 野間児童文芸賞を受賞したことからもわかるように、これは児童文学というカテゴリーに入るのですが、とにかく底に綴られてい何気ない日常が、もう心にぐっとくる物語。 あの頃あたりまえにあったもの、何一つ素晴らしいとも美しいとも感じなかったもの。 祖父の家、風鈴の縁側、冷えたスイカとラジオ体操、もう二度と手に入ることのない、そんな当たり前の日常の坦々とした描写が、心に感動の渦を巻きます。 そして、そんな日々を生きた自分の今が、より浮き彫りになる。 あの頃ただそれだけですごいと思っていた大人がいかに平凡であるかを知ったいま、あの頃平凡であったものの素晴らしさを認識することが、まるであわせ鏡のように、心を締め付けてくるのです。 11|君と会えたから・・・(著者:喜多川泰/ディスカヴァー・トゥエンティワン) とにかくシンプルで、余計な装飾や無駄な盛り上げのないスマートな物語。 しかも話自体もとても短く、そこにあるのは壮大なストーリーなどでは決して無いにもかかわらず、溢れ出る涙を止めることが出来ない、その上、読後の余韻は前後編の長編を読んだかのように深く長い。 ストリーは無気力で平凡な日々を送っていた少年のもとに一人の少女が現れることでスタートします。 そして、うまれる恋心、彼女のひみつ。 こういった展開は青春小説系の感動ものにとってはある意味王道であり、言葉は悪いものの、いわゆるテンプレ展開であるにもかかわらず、そのどれとも違う味わいがある作品です。 12|夜の果てまで(著者:盛田隆二/角川文庫) 始終暗い雰囲気がつきまとう、爽やかさとはかけ離れた恋愛小説。 それもそのはず、この物語の主軸となる恋愛は、『不倫』であり、決して社会的に許されることのない恋愛の形の中で、その関係に耽溺していく二人の人間の様を描いているからです。 しかも、その物語の視点は、不倫の当事者である大学生と、その相手である女性の義理の息子。 どこまでも報われることのない、恋愛の姿を、義理の息子の視点で描く残酷さと切なさは、まさんこの小説の味わいの大きな特徴の一つ。 内容は、まさに大人の純愛。 しかし、そこには若い感性で見つめた大人の恋の形に戸惑う、まさに青春の形があるのです。 13|カラフル(著者:森絵都/文春文庫) 命の尊さを知るとき、人は多いに涙するものですが、この本は特にそこに特化した作品。 自殺した主人公が、人生のやり直しの権利を与えられ、中学生の男の子の身体に曲がりしてしまうという奇想天外な設定で始まる物語は、まさに、命の授業のような一冊。 一度祈り知恵諦めた人間がたどり着く、衝撃のラスト。 人生というものがいかに過酷で残酷で、そしてだからこそ輝く命の尊さを知ることのできる作品。 道に迷った大人も、そしてこれから釈迦に出ていく人にも読んでほしい、人生の真理を描いた作品です。 14|天国までの49日間(著者:櫻井千姫/スターツ出版文庫) いじめによって自殺した14歳の少女。 そんな少女を待ち受けていたのは、天国か地獄かを選ぶ49日間の、死んでもいない生きてもいない、宙ぶらりんな状態で過ごす日々だった。 そんな奇妙な設定のこの小説は、少女が見つめる生きているという事実の確認。 話の内容の重さの割には、文章が読みやすく読む手の進みが早い小説ですが、最後に現れる結末に、突然溢れる涙をこらえることが出来ない、そんな小説です。 青春期、痛いほど鋭敏だった感受性。 そんな心を引きずったまま死を選んだ少女の、世界の真実を知る49日間の物語です。 15|聖の青春(著者:大崎善生/講談社文庫) 実在の棋士村山聖の生涯を描いた作品。 西の村山東の羽生と、現在の永世7冠であり国民栄誉賞受賞者である羽生善治と並び称されるほどの天才であった彼の、煌めく閃光のように壮絶で短い人生の軌跡。 少し異質な世界のはなしではあるものの、間違いなくそこにあるのは燃え上がる青春のカタチです。 数々の棋士と戦い、そして、決して彼を見逃してはくれない病気との戦いの中で、彼が生きてきたその棋士としての姿、人間としての魂のきらめき。 清々しくも悲しく、人間臭くも崇高なその生き様は、涙なしでは読めない傑作です。 涙は心の汗 涙は心の汗といいますよね。 それは涙が恥ずかしい人たちの言い訳のように思われていますが、実は涙は心に溜まったストレスを流してくれるという・・・確かに身体にとっての汗に近い役割を持っています。 そんな心の汗である涙を最近流していないなら、是非流しておきましょう。 あなたの心に淀んだストレスがスッキリと流れていってくれるに違いありません。

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今すぐ恋がしたくなる!本当におすすめできる恋愛小説ランキング

本当に素敵な恋愛小説

著者 越谷オサム 出版社 新潮文庫 出版日 2011年6月1日 受賞歴 ・2011年おすすめ文庫大賞1位 映画化もされた恋愛小説です。 女性が男性に読んで欲しい恋愛小説とも言われたので、男性こそ読むべき作品でもあるでしょう。 社会人になり仕事をしていた男性が、あるとき中学時代の同級生だった女性に再会します。 その女性は中学時代にいじめられており、いじめから守ったことから懐かれいつしか2人は一緒に帰ったりキスをしたりする仲になりました。 しかし、男性側が引っ越すことになり一度は離れ離れになっていました。 再会した2人がまだ交際をしていくのですが、最後には思いもよらぬ展開が待っています。 恋愛の切なさと命の大切さを教えてくれる小説です。 著者 住野よる 出版社 双葉社 出版日 2015年6月19日 受賞歴 ・2016年本屋大賞2位 ・ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR2位 ・2015年年間ベストセラー6位 ・読者メーター読みたい本ランキング1位 ・2016年年間ベストセラー5位 ・第3回Yahoo! 検索対象カルチャーカテゴリ小説部門賞 非常に高い評価と多くの注目を集めた小説です。 映画化もされています。 膵臓に疾患を持っている女の子が、クラスでも目立たなくて暗い男の子と、膵臓の病気を知られたことから仲良くなっていくという内容です。 2人で家を抜け出して、やりたいことをしていくのですが、命が尽きる日が迫っている女の子から時々感じられる切なさに胸が締め付けられるでしょう。 また、亡くなり方が意外だったので、最後は驚きも交えた気持ちになる作品です。 著者 F・スコット・フィッツジェラルド 出版社 チャールズ・スクリブナーズ・サンズ 出版日 1925年4月10日 受賞歴 ・英語で書かれた20世紀最高の小説2位 アメリカで大人気となった小説です。 大人になり海外の作品を読みたいと思っている人におすすめです。 戦争に行っていた男性が休戦とともに帰ってきたものの孤独を感じます。 しかし、隣には毎日パーティーを開く巨万の富を持つ男がいました。 この男はまるで何もかもを手にしているように見えますが、実は心の中にはある女性に奪われています。 悲しさもあるこのラブストーリーは胸キュン要素たっぷりです。 村上春樹さんが翻訳しているものもあるので、気になる方は是非読んでみてください。 著者 百田尚樹 出版社 太田出版 出版日 2006年8月23日 受賞歴 ・シニア層が選ぶ2014年読んでよかった小説ランキング1位 ・第38回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞など11部門(映画) 永遠の0は第二次世界大戦を舞台にした戦争ものの小説です。 零戦という飛行機に乗り体当たりをして敵を襲撃する特攻隊について描かれています。 一見、恋愛小説ではないようにも感じますが、特攻隊に選ばれた男性の妻に対する愛も描いています。 妻と「必ず帰る」と約束した男は、特攻隊で一番の臆病者と言われました。 しかし、飛行機の操縦は一流であり、人間性も一流です。 最後には、特攻隊として命を全うしますが、妻と約束した「必ず帰る」というのを思いもよらぬ方法で叶えました。 涙なしでは読むことができない小説です。 映画化もされているので、映画から入るのもおすすめです。

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【まとめ】30代独身サラリーマンが泣ける恋愛小説のあらすじと感想|おうちで楽しく過ごそう

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直木賞は、芥川賞ともに1935年に創設され、年に2回、上半期と下半期に分けて発表されている、今なお文学界に大きな影響力を持った文学賞です。 文芸春秋社内に事務所を構える、日本文学振興会により運営されています。 芥川賞が新人、純文学作品に授与されるのに対し、直木賞は新人から中堅までの作家による大衆小説作品に与えられる賞とされていて、昨今では中堅作家に重きを置いているようです。 大衆小説は、純文学の持つ芸術性よりも、娯楽性に特化した作品、俗にエンタメと呼ばれるような作品になります。 近年ではその分類も多様化されていて、SF、推理、時代など、さまざまなジャンルの作品が候補に挙げられています。 もう一つ分かりやすい違いをあげるとするならば、長さでしょうか。 両賞とも公募はしておらず、芥川賞は中編、短編を対象とし、雑誌掲載されたものから選出していますが、直木賞は長編作品もしくは短編集を対象とし、書籍として出版されたものから選出しています。 ちなみに両賞とも受賞はひとり1回までです。 正式名称は直木三十五賞といい、昭和を代表する大衆小説作家の名を冠しているのです。 それでは、直木賞のことを知ったところで、さっそくおすすめの受賞作をご紹介していきます。 金城一紀の作品で、主人公の在日韓国人としての悩みが恋愛にシンクロして描かれた青春恋愛小説です。 作者自身の自伝的作品でもあり、「在日」である自分と、日本で生まれ育ち「日本人」でもある自分が色濃く描かれています。 題材はとても重たいです。 けれども、爽快感すら感じてしまう青春小説らしさ、恋愛小説らしさが本作の魅力です。 在日朝鮮人の主人公は、中学まで民族学校に通い、日本にいながらにして、日本人が受けない教育を受けて育ちます。 高校は日本の学校に行くのですが、その時オヤジの提案で在日韓国人になります。 そして学校では杉原と名乗ることになるのです。 環境がそうさせるのか、周りの偏見のせいなのか、喧嘩に明け暮れる日々が続きます。 そんな中、ヤクザの息子の加藤という友人ができ、彼の誕生日パーティの会場で桜井という少女と出逢います。 桜井と親しくなっていくものの、杉原は自分が在日だとなかなか言い出せず……。 偏見や制度、そういったものに雁字搦めにされながら生きる若者の、生々しいとも言える葛藤、アイデンティティについて深く考えさせられる物語です。 オヤジと杉原のやりとりの中に心に残る台詞があります。 「スペイン語だよ。 俺はスペイン人になろうと思った でも、ダメだった。 言葉の問題じゃないんだよな そんなことないよ。 まぁ、おまえにもいつか分かるよ」 (『GO』 より引用) 本作には心に残る名台詞が数多く散りばめられていて、それはやはり、作者の力強いメッセージなんだなと感じます。 映画化もされていますし、作品自体も読みやすいので、両方おすすめさせていただきます。 対照的な幸せのかたち『肩ごしの恋人』【2001年下半期】 るり子と萌。 2人は親友で幼馴染の27歳です。 この2人がどれくらい違うのか、抜き出してみたいと思います。 萌談 「こんな見かけ倒しの女はいない。 優しくて、可愛くて、女らしい、という皮を一枚めくれば、気紛れで、自惚れ屋で、浅はかでしかない。 だいたいるり子は誰よりも自分が大好きな女だ。 自分が大好きな女ほど、始末に悪いものはない。 」 (『肩ごしの恋人』 より引用) るり子談 「萌は嘘をつかない。 私に面と向かってアホと言うのは彼女だけだ。 「その服はあんたに全然似合わない」「新聞はテレビ欄だけじゃなくて、たまには一面から読め」「胸をわざとらしく突き出すな、下品この上ない」「ピーマンを残すな、子供じゃあるまいし」萌はどうしようもなく口が悪く、強情で、屈折していて、理屈やだ。 こんな可愛げがなく、傲慢で、そして優しい女は見たことがない。 」 (『肩ごしの恋人』 より引用) お互いに言いたい放題といった感じです。 こんな2人の間に立ったとしたら、眩暈を起こしてしまいそうです。 本作は2人の視点で女としての幸せを模索していく物語です。 対照的だからこそ、違う意見があり、発見に繋がるのです。 言いたいことが言い合える関係は、本当に素敵な友情に思えます。 物語は妙な出会いをすることで面白さが増していきます。 秋山崇という男。 なるほど十八歳か。 とさほど意識もせずに、萌と崇は2人で居酒屋に行きビールを飲み始める。 店を出てから家に帰りたくないという崇を置いて帰ると、近くの公園で野宿しようとする姿が見えた。 仕方なく招き入れ、ふとした拍子で崇の財布の中を見てしまいます。 「財布の片面は定期入れになっていて、それに目を落とした。 えっ やばい 崇はまだ十五歳、高校一年生なのだった。 」 (『肩ごしの恋人』 より引用) この崇の存在がいい意味で、るり子と萌の生活をかき回します。 その他にも、ゲイバーのマスターや萌の浮気相手の柿崎など、愉快なキャラクターが出てきます。 どの登場人物も魅力的なので、読んでいてまったく飽きることがありません。 恋愛、結婚、友情、仕事、生活、妊娠。 いろんなかたちの幸せの可能性と、日常の機微が描かれ、27歳の2人女の視点だから見える「幸せってなんだろう」が詰まった本作。 リアルな描写も痛快な会話も、胸にストンと入ってきます。 男女関係なく楽しめる1冊です。 6種6様の大切なもの『風に舞いあがるビニールシート』【2006年上半期】 国連難民高等弁務官事務所に勤めるエド、その妻の里佳。 2人の結婚生活は幸せいっぱいと単純には言えません。 家族として夫婦としての温もりを求める里佳と難民救済の使命に生きるエド。 どうしようもなくすれ違いは生まれ、2人の間には、難民問題を抱えた国々の影が色濃く存在しています。 「結婚さえすればエドと幸福に暮らしていけるなんて、なぜ思ったのだろう?」 (『風に舞い上がるビニールシート』 より引用) 物事はそれほど単純ではなかったのです。 エドが大切だから現場に行ってほしくない。 そんな気持ちが里佳を苦しめます。 切ない物語の中に浮かび上がってくるのは、圧倒的な平和や幸せへの憧れです。 それは言葉としては普遍的かもしれませんが、その実、人によってその形は違うのかもしれません。 その差違が、おそらくはそれぞれにとっての大切なものなのだろう、と読み終わって考えました。 皆さんの大切なものは何でしょうか。 きっと、本作を読み終えたころには、この1冊が、「大切なもの」 の一つになることでしょう。 章ごとに1人ずつ語り16人、つまり16の章に分かれて真相を追っていくのです。 舞鶴屋で働く人たちや、お客さんなど、葛城と関わりのあった人たちが語っているのですが、その中には嘘が見え隠れするので、大変です。 真相は一体どうなのよ、と聞き手と一緒になって彼らの話に集中してしまいます。 はじめの方で遊郭という異質な空間のことを詳しく語ってくれているので、知識が無い人もするっと物語の中に入っていけるでしょう。 時代小説初心者にも優しいのです。 遊郭そのものの説明も織り交ぜつつ、物語はゆっくりと展開していき、どんどん真相に近づいていきます。 葛城はなぜ失踪したのか。 葛城が関係しているという 「あの騒ぎ」 とは何か。 何が嘘で何が本当なのか。 まるで落語のようなコミカルさを含んでいて、オチに向かっていく物語にハマってしまうことでしょう。 最後にはどんでん返しも待っていて、全て読み終わると、ああなるほど、と話のつくりの上手さに唸ってしまいます。 時代小説初心者に優しい、その上面白い。 傑作痛快時代ミステリー。 おすすめです。 普遍的な禁忌を力強く描く『私の男』【2007年下半期】 近親相姦を題材にした意欲作です。 扱っている題材は重く、犯してはならないとされているものであるにも関わらず、描かれている愛のかたちに、純愛以外の言葉を当てはめることができません。 純愛だと思えるけれど、描かれているのは異常とも言える近親相姦であることも、また事実です。 不純である恋愛が純粋な恋愛に思えてしまう、その矛盾が、読者を引き込む大きな要素として存在しているかのようです。 物語は2008年から始まり、2005年、2000年と、時を遡るように展開していきます。 メインの2人、花と淳悟はもともと親子ではありません。 花は親戚の子どもで、大津波で家族をなくしてしまいます。 そんな花を淳悟が養子に迎えるのです。 花の結婚式から物語は始まります。 この章を読み進めるうちに疑問が次々に生まれていくのです。 一緒に逃げたんだよな、という淳悟の言葉。 ただの親子にあるまじき親密さ、2人の出会い。 全ての謎が、物語をなぞるにつれて明らかになっていきます。 2人のどこまでも純粋に愛を求める姿を、無視出来なくなっていく感覚は、この作品の特異性と言えるかもしれません。 2人の葛藤、過去の記憶、貪欲に求める愛情、それらを、これでもかと表現した、文章の持つ力強さ。 実際に読んで感じてほしいです。 ひしひしと。 愛のかたちに正解も不正解も無いと思います。 けれど、近親相姦は間違っている。 そう思っている、知っているのに胸を締め付けるこの苦しさは、一体何なのか。 皆さんにも感じていただきたいと思う次第です。

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